1. 開発コンセプト:番手ではなくロフト基準のセット構成

UPPARアイアンの開発では、従来の「番手」(例:5番、6番)でクラブを呼ぶことから離れ、ロフト表記でセッティングを考えることを目指しています。これは、アイアンセット全体として、ゴルファーが苦手意識を持つ部分を払拭し、全体的に使いやすいものを提供するためです。

ロフト構成: 現在開発中のモデルは、27°から48°までの6本体制で構成されています。

    ◦ ロフトは、27°、32°、36°、40°、44°、48°です。

ロフト刻みの工夫:

    ◦ 一番上の番手(27°と32°の間)は5°刻みに設定されています。これは、一般的に難しいとされる5番や6番相当のクラブで、距離差が出にくいという問題を解消し、しっかり距離差が出るようにするためです。

    ◦ それ以降のロフトは4°刻みになっています。これは、より細かい距離を打っていくことを目的としています。

ウェッジとの連携: 48°のアイアンは、今年発売されたアッパーウェッジ(52°)の上に繋がるように設定されています。

2. ヘッド構造と試作の過程

開発の過程では、ヘッドの軽量化と、打点裏の肉厚にこだわった構造が採用されています。

軽量化: ヘッドの重量を最適化するため、最初の試作では約25g程度、既存のヘッドを削って重量を落とす作業から開始されました。その後、鉛を貼って最終的な重量を決める試作が行われ、同時にシャフトのテストや長さのテストも実施されました。

キャビティ構造: 軽量ヘッドを実現するためにキャビティ構造が採用されています。

打点の肉厚: キャビティ構造にすることで心配になる打点部分の肉厚については、グラデーション(段)一番厚くなるような設計にこだわっています。

3. 「抜け感」を左右するソールデザインのこだわり

このアイアンセットの最大の特徴の一つは、ソールの形状、特に「抜け感」(ターフとの接触後のクラブの抜けやすさ)を追求するための精密な設計です。

2段ソール: ソールは2段ソールの形状になっています。

バウンス設定: 前側(リーディングエッジ側)の部分には大きめのバウンス角が設定されています。

抜けの改善: ソールの後側を少し落とすことで、抜けを良くする工夫がされています。

1mmの調整: 初期サンプルでは、ソールの「山」(ピークの位置)がリーディングエッジ側にあり、ボールを打った際に刺さる場面があったため、バウンスが足りていないと判断されました。

    ◦ この問題を解消するため、ソールの山を1mmだけトレー側(後方)に移動させました。

    ◦ 角度的な変化は小さいものの、この1mmの移動により効果が大幅に変わり、刺さる問題は解消されました。

    ◦ ソールの幅が1mm違うのと同じくらい効果が大きいと開発者は述べており、重心の位置やソールの抜け感はクラブの操作性に直結するため、テストが必須とされています。

4. 高い製品精度へのこだわり

開発では、わずかな誤差が性能に大きく影響するため、製造における精度の高さが非常に重要視されています。

• 1mm単位の形状変更が効果を変えてしまうため、製品精度にこだわることで、ユーザーが使った際の感覚がブレないように工夫されています。

5. ユーザーへの期待

アイアン、特に5番アイアンなどに対する苦手意識を払拭し、アイアンセット(今回の場合は6本)がしっかり打てるようになることで、ゴルファーは不足しているクラブ(UTやショートウッドなど)を特定しやすくなり、全体のクラブセッティングを立てやすくなることが期待されています。

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